抜かない・削らない虫歯治療について
虫歯治療について
なるべく⻭を削らないで治療することをコンセプトとした治療法「ドックベストセメント治療」
皆さまはこれまでどのような歯の治療を受けてこられましたか?
治療室に入ると診察台で横になり、口を開けて検診。虫歯があると歯科医に言われ、そのまますぐに麻酔をして治療、そして一週間後に詰め物や被せものをして終了する。
従来、多くの方がこのようなご経験をされてきているかと思います。もちろん歯の状態が悪い方が歯科医院を訪れる最大の目的は治療ですが、患者様と医師がきちんとしたコミュニケーションを取らず、ただ悪いところを治すだけでは根本的な解決には至りません。むし歯や歯周病には、その状態になった原因が必ずあります。再発を防ぐためにはしっかりと原因を特定して治療を進めていくことが重要であり、それが本質的な歯科治療だと思っています。
うえくさ歯科ではむし歯や歯周病を治療する際、同時にその原因を特定するように努めています。繰り返しになりますが、むし歯や歯周病には必ず原因があります。それは不充分なブラッシングや不規則もしくは不健康な食生活(間食が多い、甘いものを好む)、他には過度のストレスや睡眠不足など生活習慣に本当の原因が潜んでいます。そのため当院ではカウンセリングを行うことでその原因を特定し、治療と合わせて生活習慣を改善することで、症状の再発を根本的に防ぐようにしています。
子供の成長と歯の変化
お子様の虫歯の予防には世代ごとの適切な対応が重要です
0~5歳
幼い子供の歯は抵抗力が弱く、そのため細菌からのダメージを受けやすいという特徴があります。また歯自体が小さいためにその溝も非常に細かく、歯ブラシの毛先が入り込めないことがあります。そのため大人よりも磨き残しが出やすく、またブラッシングの仕方もきちんと習得していないことからむし歯の原因となっています。小さいお子さんをお持ちの保護者の方は、とくに丁寧な歯磨きをしてあげてください。また一人で歯磨きをする年齢になってもきちんと磨けているか確認し、必要に応じて仕上げ磨きを手伝ってあげてください。
お子様のためのシーラント
フッ素も積極的に取り入れてください
6~12歳
乳歯が永久歯に生え変わる時期で、そのため人生において口腔内の環境が最も変化するということができます。生え変わって間もない歯は抵抗力に乏しく、細菌の影響から免れることができません。また乳歯と永久歯が同時に存在する時期が長く続くため口腔内の状態が不安定であり、一度むし歯になると症状が一気に悪くなることもあります。そのためこの時期も口腔内の健康の維持のためには0~5歳と同じように周囲の大人によるサポートが不可欠となります。
多くの地域では小学校において歯科検診が行われていますが、多くても年に二回です。子供の虫歯はその進行が早いことでも知られており、学校検診の間にむし歯が進行してしまう可能性もあります。ご家庭でのセルフケア(ブラッシングや健康的な食生活)だけではむし歯を防ぎきることは難しいので、歯科医院で定期的なメンテナンスをする習慣を身につけていただくと安心です。またこのタイミングで歯並びの初期矯正を始めるご家庭も出てきます。
12~18歳
永久歯が生え揃う頃で、歯列矯正をしている子なら本格的な治療へと進みます(二期治療)。この時期になると学校や部活動、また友人との交際などから両親の目の届かないところでの食事の回数が多くなります。そのため食生活が不摂生になりますし、学業や部活動で忙しくなってむし歯になっても歯科医院に行くことを後回しにしがちです。
一般的にはこれまでにご家庭で行った口腔内のケアの結果が出始める時期といわれています。まったく無頓着な家庭で育った子はむし歯が多く、口の中はすでに銀歯だらけということがあるかもしれません。反対にご両親がきちんと指導していた家庭の子はむし歯がなく、歯並びもきれいということがあります。お子様ご本人も多感な時期に入るので、口腔内の環境が対人関係に関わってくる可能性もあります。この時期はもちろん、この時期を過ぎても健康な口腔内環境でいられるようにご両親がお子様の歯と口の健康に責任を持ってケアに取り組みましょう。
むし歯の原因
脱灰のスピードが再石灰化のそれを上回ったときにむし歯となる
むし歯は「(細菌)に蝕まれた歯」という意味であり、従来は「虫歯」という字が使われていましたが、ここ最近では虫の字を平仮名にして「むし歯」と書くのが一般的になってきました。これは虫の字が入ることで子供たちが「虫を食べることで虫歯になる」と誤解するケースがあり、そのことを危惧したSPP(全国小児歯科開業医会)が正しい知識を広めるために表記をあらためるように全国的にはたらきかけているためです。
またむし歯というと、よく悪魔のような恰好にデフォルメされたむし歯菌が細い槍を持って歯をつついているイラストを目にするかもしれません。むし歯は痛みを伴うためイメージとしては合っているのかもしれませんが、科学的なメカニズムとしては正確ではありません。実はむし歯菌が直接的に歯を攻撃しているわけではないのです。
口腔内にはおよそ300から700の細菌が棲みついていますが、むし歯菌(ミュータンス菌)もその中の一つです。そしてミュータンス菌はほとんどの人の口の中にいますが、だからといって全ての人がいつもむし歯になっているわけではありません。ミュータンス菌は口の中にいるからといってただちに悪い影響を及ぼすわけではないのです。ミュータンス菌にある物質が与えられることで彼らは歯を溶かす酸をつくり出します。それは糖分です。ミュータンス菌は糖分を餌にして歯の表面にプラーク(歯垢)と呼ばれる塊を作り出します。その中で増殖しなが酸を生み出し、その酸が歯を溶かす(脱灰といいます)ことでむし歯は進行していきます。
歯の再石灰化
口腔内ではミュータンス菌による脱灰と唾液による再石灰化が常に繰り返されています
プラークとは歯の表面に付着した歯垢のことですが、その中でミュータンス菌は酸をつくり出します。酸が歯のミネラル成分を溶かしていき、それによって歯の結晶構造が崩壊していきます。この一連を脱灰と呼び、これが続くことで歯の表面に穴が開きます。
しかし人体は自己修復機能を持っていて、口腔内も例外ではありません。唾液の中にはカルシウムやリンというミネラルが含まれており、それが歯の崩壊した内部に沈着することでその歯を元通りに回復させようという作用が起こります。これを歯の再石灰化といいますが、口腔内ではミュータンス菌による脱灰と唾液による再石灰化が常に繰り返されています。そして脱灰のスピードが再石灰化のそれを上回ったときにむし歯となるのです。
歯科医院でできる再石灰化の促進
濃度の高いフッ素を塗布することなどで再石灰化を促進が可能
先述したメカニズムでむし歯は起こるため、逆を言えば再石灰化が活発であれば歯の回復の方が優り、むし歯にはなることはありません。それではどのようにすれば再石灰化を活発にすることができるのでしょうか。日常生活で行えることとしては丁寧なブラッシング、唾液の分泌を促す(口腔内を乾燥させない)こと、歯の表面にフッ素を塗布(フッ素配合の歯磨き粉を使用)などが挙げられます。歯科医院においてはブラッシングでは除去しきれない歯垢を取り除き、濃度の高いフッ素を塗布することなどで再石灰化を促進することができます。
むし歯の段階と症状
気づいたときには既にかなりの重症。予めの予防がとても大切です。
普通は何かつらい状態にならないと、なかなか歯医者に行こうと思わないでしょう。ですが、歯科の症状というのは体感を伴うようになればすでにかなりの重症なのです。お口の健康は全身の健康の入り口。維持するためにはあらかじめの予防がとても大切です。月に1度美容室に行く感覚で、私たちにお話をしにいらしてください。私たちが提供したいのは気軽に来れる居心地の良い環境と、安心して任せられるプロフェッショナルの品質です。ここ、大田区大森でこれからも一人でも多くの患者さんの「聞いてみてよかった。」を形作れるよう取り組んでまいります。
C0(シーオー)
初期段階で、まだ穴は開いておらず、歯の表面(エナメル質)に変色が見られる程度です。
<治療法>
この段階でのみ歯科医院における治療を必要とせず、丁寧なブラッシングで元の状態に戻すことが可能です。
C1(シーワン)
症状が進行して歯の表面に浅い穴が開いています。痛みはまだ感じない場合がほとんどですが、冷たいものがしみる(知覚過敏)ことがあります。
<治療法>
一度穴が開くと自然治癒はもう見込めません。これ以上の進行を止めるためにむし歯を削る必要があります。削った部分はコンポジットレジンと呼ばれるプラスチックで埋めます。エナメル質には神経が通っていないため治療の際に麻酔を使わなくていいときがあります。
C2(シーツー)
ミュータンス菌がエナメル質より深いところにある象牙質にまで達しています。冷たいものだけではなく温かいものでも沁みるようになってきます。痛みが出ることもありますがそれほどひどくはありません。
<治療法>
一般的に、麻酔を使ってからむし歯の部分を削り取ります。削った部分はコンポジットレジンもしくは詰め物(インレー)や被せもの(クラウン)をします。しかし、当院は日本歯科保存学会のガイドラインに沿った治療を行っています。そのガイドラインでは、歯の神経を守るためにあえて麻酔を使わずに行う治療法が示されています。その為虫歯を治療する際には基本的に麻酔は使いません。麻酔をしてしまうと患者様側の感覚が無くなるため、歯を必要以上に削りすぎてしまう可能性が高まるためです。
しかし麻酔希望の患者様には通常通り麻酔を用いた診療を行いますので、遠慮なくお申し付けください。
C3(シースリー)
ミュータンス菌が象牙質からさらに進んで神経・歯髄にまで到達しています。このときには,ズキンズキンと耐えがたい痛みを伴うことがほとんどです。
<治療法>
ミュータンス菌に侵された歯髄を放置しておくとさらに深くまで進行していき、顎の骨まで到達することがあります。そのため神経ごと歯髄を抜き取る治療を行います。抜き取ったところに薬を詰め、それから詰め物や被せものをします。
C4(シーフォー)
酸によって歯がほとんど解け、歯根しか残っていません。残った歯根もぼろぼろになっているため人工物をかぶせる、載せることができないため、一般的には歯としての機能を取り戻すことはほとんど不可能と言われています。しかし、当院ではこの状態でもなるべく歯をそのまま残せるような治療方針をとっていますので、他院で抜歯を勧められたケースでも当院までご相談ください。
歯科医院でできるむし歯予防
定期的なメンテナンスが重要
歯を削って詰め物や被せものをしたむし歯治療は、その治療自体の完成度がどれだけ高くても、再びむし歯になるリスク(二次むし歯)がどうしてもつきまといます。そして一度治療した歯を再び治療することは技術的な難易度が増し、また歯の寿命は確実に縮まっていってしまいます。そのため最も望ましいのは何よりむし歯にならないことであり、そのために必要なのが「予防」です。そして日本における「むし歯の予防」となると多くの人がイメージするのは歯磨きかもしれませんが、実際には歯科医院で専門的に受ける予防も必要となります。
もちろん家庭における日々の歯磨きはむし歯や歯周病予防において何より大切です。しかし、それだけでは予防として完全ではありません。むし歯の原因はブラッシングによる磨き残しだけではなく、食生活や睡眠・ストレスなどあらゆる生活習慣の中に潜んでいるためです。歯磨きは丁寧ですが、むし歯が多い方がたくさんいらっしゃいます。その原因の一つに予防歯科の考えがまだ根付いておらず、予防目的で歯科医院を訪れる人が少ない、ということがあります。歯科医院でしか受けられない高濃度フッ素塗布などのむし歯予防もあるため、定期的にメンテナンスを受ける習慣を身につけましょう。
もちろん家庭における日々の歯磨きはむし歯や歯周病予防において何より大切です。しかし、それだけでは予防として完全ではありません。むし歯の原因はブラッシングによる磨き残しだけではなく、食生活や睡眠・ストレスなどあらゆる生活習慣の中に潜んでいるためです。歯磨きは丁寧ですが、むし歯が多い方がたくさんいらっしゃいます。その原因の一つに予防歯科の考えがまだ根付いておらず、予防目的で歯科医院を訪れる人が少ない、ということがあります。歯科医院でしか受けられない高濃度フッ素塗布などのむし歯予防もあるため、定期的にメンテナンスを受ける習慣を身につけましょう。
歯のクリーニング
家庭における歯磨きでは汚れや歯石を取りきることは不可能です。歯科医院にある専用の器機を用いたクリーニングで歯を清潔にしましょう。
ブラッシング指導
どれだけ長い時間ブラッシングをしてもその方法が適切でなければむし歯になってしまいます。子供だけではなく大人もブラッシングの仕方が不充分な人がほとんどです。
食事指導
間食が多い、甘いものを好む、よく噛まないなど食生活によってむし歯になるリスクが高まることがあります。
高濃度のフッ素塗布
フッ素塗布はそれが含まれている歯磨き粉を使うことで家庭でもできますが、歯科医院では濃度の高いフッ素を塗布することができます。とくに抵抗力のまだ弱いお子様におすすめです。
むし歯に関する間違った認識
ミュータンス菌が糖を餌として歯を溶かす酸をつくり出すことから、「甘いものを食べる=むし歯になりやすい」という認識が一般的になっています。たしかに甘いもの糖分が多いのでミュータンス菌にそれだけ餌を与えやすいことは事実です。しかしお米やパンなどの炭水化物にも糖を含まれているため、食事をしている以上、むし歯になるリスクはつきまとうということになります。
ドックベストセメント治療とは
なるべく歯を削らないで治療することをコンセプトとした治療法
ドックベストセメントとは、なるべく歯を削らないで治療することをコンセプトとした治療法です。歯は削れば削るほど耐久性を失い、寿命が短くなっていきます。この治療法とは「鉄(Fe)イオン」と「銅(Cu)イオン」の二種類のミネラル成分から生まれる殺菌作用によって、虫歯菌を除去するというものです。
例えば、虫歯を完全除去すると神経まで達してしまうような大きな虫歯について、神経を抜かずに治療できる確率が高まるため、結果として歯の持つ寿命を伸ばすことが期待できます。また、麻酔や薬剤を使わずに、天然ミネラル成分によって治療を行うため、副作用などの心配がなく、身体にも優しい治療法として知られています。虫歯治療時の痛みをなるべく避けつつ、麻酔も使いたくないという方におススメです。
院長紹介
Satoshi Uekusa Ph.D.
2004年
日本大学歯学部卒業
2008年
日本大学大学院 歯学研究科 博士課程終了
2008年
日本大学歯学部保存学教室修復学講座 入局
2009年
東京都新島村国保診療所 歯科医長として出向
2010年
岡口歯科クリニック
2012年
医療法人社団SED 汐入駅前歯科
2015年
うえくさ歯科 開業
2020年
医療法人社団 心瑛会 うえくさ歯科
- 日本歯科保存学会 専門医
- 日本歯内療法学会
- 日本成人矯正歯科学会
- 日本歯周病学会
- 日本顎咬合学会
- 包括医療研究会