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歯周病は糖尿病や動脈硬化などの全身疾患の悪化に関係している可能性があると以前から言われています。
そのような疾患の中には日本の国民病と言われているがんも含まれます。
多種のがんにおいて歯周病がリスクを増加させる可能性が指摘されており、現在も各種研究が続けられています。
この記事では比較的最近に国内で発表された歯周病とがんリスクとの関連性についての研究報告をいくつかご紹介いたします。
口腔内細菌は食道がんの危険因子
2020年、東京医科歯科大学大学院の発表によると、口腔内細菌が食道がん発症のリスクに関与していることが突き止められたとしています。
具体的にはプラーク(歯垢)に含まれるある種の細菌が口内に存在する場合、食道がんリスクが6倍、さらに別の細菌が見つかると約33倍の食道がんリスクが確認されています。
食道がんはその特徴として早期診断が困難で浸潤や転移の頻度が高く、生存率が低いことがあげられ、がんによる死因で6番目に多い病気です。
歯周病の原因菌が口腔がんの進展を促進
徳島大学大学院医歯薬学研究部は、口腔内に存在する歯周病原因菌の一種が口腔がんの進行に関わっていることが分かったと発表しています。
口腔がんは舌や歯肉などの粘膜に発生するがんであり、再発やリンパ節転移を起こしやすいのが特徴です。
さらに会話や食事などの機能的な問題や審美的な問題などQOLに影響を及ぼす性質も見逃せません。
口腔細菌が結腸直腸がんの発生と進行に関与している可能性
2021年鹿児島大学は4種類の口腔細菌が結腸直腸がんの発生と進行に関係している可能性を確認と発表しました。
さらに細菌種数が積極的な経口洗浄によって減少する可能性があり、口腔ケアや歯科治療などの口腔細菌叢を管理、コントロールすることで結腸直腸がんの予防の可能性があると結論づけています。
国民病である歯周病の予防は日頃の口内ケア
歯周病は歯肉の炎症や出血に始まり、歯を支える骨や線維などの深部組織に炎症が広がり、最終的には歯の喪失にいたる口腔内細菌感染症です。
わが国では罹患率が極めて高い病気でもあります。
歯周病の予防こそが口内細菌を低く抑えることにつながります。
しかし、残念ながら歯周病を予防する薬はありません。
そこで重要になるのが日々のプラークコントロールです。
日々のセルフケアと予防歯科の重要性
口内のセルフケアの基本はブラッシングです。
正しいブラッシングを意識されて口内ケアに励まれている方は少なくありません。
しかし、どれだけ丁寧にブラッシングしたとしても取り残しがあったり、またセルフケアだけでは取りきれない歯石やバイオフィルムが残ってしまいます。
予防歯科では、このようなセルフケアでは落としきれないプラークの除去を行います。
それだけに止まらず、口内の状況や変化を確認して皆様のお口の状態や環境に適したアドバイスを行います。
セルフケアの質向上のためにも専門家のアドバイスは重要です。
がんのリスクを減らすためにも予防歯科の受診を
歯周病はがんやその治療と関係しています。
口内ケアのためにも予防歯科に定期的に受診して、お口の中から体の健康を考えてみてはいかがでしょうか。